世界の裏庭

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【おすすめ傑作選◉映画】『ディナー・ラッシュ』

●『ディナー・ラッシュ』

 監督/ボブ・ジラルディ

 出演/ダニー・アイエロ、エドアルド・バレリーニ

 

ディナーラッシュ(字幕版)

ディナーラッシュ(字幕版)

  • 発売日: 2018/05/23
  • メディア: Prime Video
 

レストランが舞台のミステリー映画

 これは、知り合いに強くすすめられて観ることになった映画だ。その人は見聞の広い人で、映画にも詳しいのである。趣味やセンスも近いから、あの人がいうなら間違いないだろうと思っていたが、これまでなかなか機会がなかった。

 少し前の映画だが、やっと観ることができた。結果、さすがにおもしろかった。よく練られた映画である。

 舞台はニューヨークのレストラン。アップテンポでリズミカルな音楽を背景に、フライパンやら調理器具やらを武器のように使って、次々と料理ができあがっていく。騒々しいのだが、ウキウキしてくるような場面が連続し、どんどん映像に引き込まれていった。

 いくつかのエピソードを絡めつつ、しかしストーリーの全体の流れは比較的シンプルである。オーナーと親友の関係、オーナーと息子というサイドストーリーの描き方も巧みだった。

 そんななか、殺人事件が起きる。人気レストランの話と殺人事件は、客観的に聞くと違和感があるかもしれないが、本作ではそれがきれいに溶けあっている感覚で、それがなかなか不思議なのである。

 自分なりに犯人の見当はつけていて、それは当たりだったのだが、そこから先にまたひとひねりあった。これには気づず、やられたと思った。ラストのあたりでようやく納得できたのは、刑事を店の中にいさせたことにはある理由があった、つまり布石が打たれていたということなのだった。

 

映画のなかの名セリフ 1

「ニューヨークでは、殺人のあった店はその後客が三倍になる」

 これは、レストランのオーナーである主人公の親父さんが語るセリフ。舞台となっているレストランは、主人公の親父さんが苦労してここまで育て上げてきた。これが現実のニューヨークで本当にいわれている言葉なのか、それとも映画用に作られたものなのかは知らないが、ストーリー上も重要なセリフになってる。

 

映画のなかの名セリフ 2

 これはシチュエーションが重要だ。とあるバーにクイズマニアのバーテンがいて、カウンター越しに客と賭けをしているという設定である。株を扱う仕事をしているという男の客に、そこで知り合った女性客が株について「おすすめは?」とたずねる。

 すると男は少し考えてから答える。

「貯蓄だ」

 で、大爆笑。こういう気の利いた会話は、アメリカの映画は本当にうまいと感じさせられた。

 

 主人公と友人、主人公と親父さん、親父さんと知人−−ニューヨークという濃密な大都会での人間関係が、なるほどという感じで描かれた本作。とても好きな肌ざわりの映画だ。おすすめです。