●ノスリ(ワシタカの仲間)
なかなか雰囲気があるノスリの姿
上の写真はノスリだが、沈思黙考しているような、どこか思索に耽っているような姿に見えないだろうか。野鳥を撮っている最中は、いつ逃げられるか(じっとしていることが本当に少ない)とハラハラしながらなので、あまりあれこれ考えることはないのだが、家に帰ってパソコンのディスプレイであらためて眺めてみると、おもむき深い印象を受けることがある。
電線にとまっているこのノスリは、ただたんに地面のどこかにエサが動いていないか探しているのだと思うが、何か彼の、あるいは彼女の人生(?)における重大な岐路について思いを巡らせているのではないか……というようなバカバカしい妄想をかき立ててられる。
それは多分に写真を見ている側の、つまり自分の心象風景が反映されているのではないか、ということは何となく想像できるが。
高い場所からエサを探す猛禽類は抜群の視力!
鳥は全般的に視力がいいはずだが、なかでも猛禽類は、数少ない経験からだが本当に目がいいと感じさせられることが多い。空のかなり高いところで、上昇気流に乗って舞っている猛禽類を見つけてカメラを向けると、そのとたんにスーッと離れていくという経験を何度かしているからだ。
つねに高い場所から広い範囲で獲物を探しているから、地上にいる人間を察知する能力も非常に高いんじゃないかと想像している。その昔は鉄砲で撃つ人だっていたんだろうし。
だから当然、写真に収めるのも難しくなる。そんな猛禽類のなかで、比較的警戒心が薄いと感じるのがノスリだ。人里近くに住んでいて人慣れしているのか、おかげでこれまで何度か撮影することができている。
ノスリつながりで、おすすめミステリー小説『ノスリの巣』
ノスリといえば、好きな作家の一人に逢坂剛という方がいるが、その著作に『鵟(のすり)の巣』というミステリー小説がある。ミステリー好きな方なら知っているかもしれないが、『百舌の叫ぶ夜』などの百舌シリーズでも有名な大家だ。もしかしたら野鳥が好きなのかもしれない(ただの想像)。

- 作者:逢坂 剛
- 発売日: 2005/04/21
- メディア: 文庫
個人的には、スペインを舞台にしたシリーズなどもとても好きな小説だ。直木賞受賞作の『カディスの赤い星』なんてもう、本当に傑作と呼ぶしかない。この作家の感想については、いつか別項で書いてみたいと思っている。

- 作者:逢坂剛
- 発売日: 2014/03/20
- メディア: Kindle版

- 作者:逢坂 剛
- 発売日: 2007/02/10
- メディア: 文庫
野鳥のことを書くつもりが、つい小説の話になってしまった。
〈ノスリ〉 ワシタカ目 ワシタカ科
・ 全長約50cm。体はやや太め、淡褐色で中型のタカ
・森にすみ、周辺の農耕地や河原、荒地などで高い木の枝などにとまって狩りをする
・エサはネズミやカエル、ヘビ、昆虫など
・四国、本州以北に留鳥として生息