世界の裏庭

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【どんぐりの木の6月】 濃緑の葉と苔(とMossテント)

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虫喰いだらけになったミズナラの葉っぱ。ちょっとかわいそう

 

●どんぐりの木の6月

 

 葉っぱが少しずつ、新緑から濃緑へ。陽射しの強さと比例するように、葉の緑が濃さをましてくる季節になった。

 ミズナラの葉のほうが美味なのかどうかは知らないが、コナラやカエデと隣り合わせのプランターで育っているのに、なぜか虫たちに人気があるのはミズナラのほうだ。人気があってうれしいかどうかはわからないが笑 とにかく、ミズナラの葉っぱには喰われた穴がたくさん空いている。

 

 林床(とあえて呼ぼう)にはいくつもの雑草も生えてきているが、苔も頑張っている。木の葉が開いてくる前までは、ばりばりに直射日光が当たるため何となく大変そうに見えた。苔にもさまざまな種類があって、陽射しに強いものもいれば、ほとんど日陰でしか生きられないものもいるらしい。

 昨年から観察していたところによると、ミズナラの下にいる苔はあまり日光に強い種類ではないようだったから、早くミズナラの葉が茂ってくれればいいなと思っていた。

 最近では太陽の位置もかなり高くなってきて、木や葉の影が直下近くまでのびるようになってきた。木の枝や葉っぱの影が、ちょうど苔のところにくるようにプランターの位置を調整して、日陰ができるようにしている。

 これでようやくミズナラの小さな木陰が、強い陽射しから苔を守る日傘になってくれた。たった一本の小さな木だけど、りっぱな木洩れ陽である。苔には良い環境で、プランターのなかで相互依存関係が成立している。

 葉っぱは苔を守り、苔は木の根元の水分の蒸散を抑えているはずだから。

 

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ミズナラと苔。苔は庭の別の場所にあったものを移植。右に見えているのがミズナラの根元

 

 

 おかげで、心なしか苔も生気をとり戻してきた感じがする。苔を育てるのはむずかしいと、いくつかのサイトで読んで知ってはいたが、実際にやってみると本当にその通りだなと実感させられる。 

 去年、苔を生やしてみようと調べてみて驚いたのは、苔には根がないということだった。地面にへばりついているイメージがあったから、てっきり土から水分や栄養をとっているものだとばかり考えていた。

 苔の下には仮根というのがあって、これが種子植物の根に近いものだという。しかしこの仮根から吸収される養分はほんのわずかで、主役はあくまで苔の緑色の部分である。この緑色の部分が空気中から水分を集め、光合成によって栄養に変えているとのことだ。そして胞子で増える。キノコの仲間と同じ。

 ミズナラの根元の苔は、どうも「ホソウリゴケ」という種類ではないかと思う(特に苔に詳しいわけでもないし、ルーペがないので拡大して観察することもできないけど)。単純に、庭の端っこにあったきれいな緑色のベルベットのような苔が、木の根元にあったらかっこいいなというだけで試してみたのだ。

 これまでも時々、茶色になったりまた緑色に戻ったりを繰り返しているのだけど、現状とりあえずのところは枯れないでいてくれるので、どうかこのまま順調に増えていってくれないかと願っている。

 

 苔つながりで、もう少し書いてみたい。以下、プチ自慢が入るので、そんなものに興味はないという向きは読み飛ばしてほしい。

 苔は英語でmoss。いまは第何次ブームなのか知らないが、キャンプや焚き火が大人気なのだそうだ。たぶん一つ前ぐらいのアウトドアブームの頃、アメリカのアウトドア用品メーカーに「Moss」というブランドがあった。あるテントのモデルが、ニューヨーク近代美術館に永久保存されているというメーカーだった。

 だった、というのは、現在はもう無くなった会社だからである。

 創業者はビル・モスという人物で、たぶんその名字からつけたネーミングだと思うのだが、大地にへばりつくような美しいシルエットは、きれいな苔と呼ぶにふさわしいテントだった(タープも大人気だった)。

 実は私も「Moss Olympic(オリンピック)」というテントを持っている。2〜3人用というやや小ぶりなサイズのテントで、中に入っていると意外に窮屈な感じではあるのだが、何しろ張ったときの曲線と曲面の、その比類ない美しさに魅了された。

 3本の超々ジュラルミンポールを交錯させ、そのテンションによって流麗なカーブが空間に描かれる。うずくまった大型獣を連想させるような、生き物感あふれる姿を見せてくれる。人によって好みは違うと思うが、個人的には左右非対称の形が面白くて選んだテントだった。

 

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Moss オリンピック。会社もすでに無くなった

  私は全然マニアではないのだが、製造工場の場所によって違いがあるという。初期はアメリカの「カムデン」、次は「シアトル」、そして中国製とに分かれているという。私の物のタグを見ると「Moss SEATTLE U.S.A」とあるから、真ん中のシアトル時代のものと思われる。

 Mossのテントといえば有名だったのが、少し時間がたってくると耐えがたいにおいを放つということだった。特に初期のカムデン時代のものが強烈だと聞く。幸いにもこのシアトル製テントにはほとんど不快なにおいがなく、テント泊の際にそれで苦労したこともない。

 ちなみに、●ノー●ークという会社があるが、初めてそのテントを見たとき、色使いもデザインもMossにそっくりだと感じたものだ。

 

  本当は張った姿の写真にしたかったのだが、ただそれだけのために設営するのも面倒なので(きれいなシルエットに張るにはなかなか苦労する)……気が向いたらいつか張って撮影してみようと思う。

 

……と、ここまで書いきて、念のためにネットでちょいと調べてみたら、なんと日本でMossテント復活というニュースがあるようだ。詳細はまだ不明だが、面白そうなので今後の動向を追ってみようかと思っている。