『バーバー』
監督 ジョエル&イーサン・コーエン兄弟 出演 ビリー・ボブ・ソーントン、フランシス・マクドーマンド
コーエン兄弟らしい先読み不能な展開
コーエン兄弟の、相変わらずミョーな展開の映画である。妻の床屋に雇われて働いている主人公が、妻の不倫を知って相手を脅迫するが、はずみで殺してしまう。
ところがその殺人容疑が妻にかかってしまい、主人公は正直に罪を告白するのだが弁護士は信じず、しかも最悪なことに妻は獄中で自殺してしまう。ここまでは普通といえば普通だけど(あまり普通でもないけど笑)、ここからが、どんどんおかしな展開になっていく。
今度は知人の娘とドライブ中に事故を起こし、目が覚めると刑事がやって来て、殺人容疑がかかっているという。「だれの?」と答える主人公。ドライ・クリーニングの詐欺師が、実は妻の●●が●●していたのだ!
この時点で、ある一つの環が閉じてストーリーは完結することになる。ズレにズレていく犯罪の連鎖と、犯罪者たち……。
ネタバレしようと思ったが……やはり断念
上記のように「●●」とかを入れないで、思い切りよくネタバレで紹介したほうが、この映画のおもしろさや、いっぷう変わったストーリーは伝わると個人的には思う。だけどやっぱり、初めて観る人の「そうだったのか!」という驚きを削いでしまったら申し訳ないという思いもあり、とりあえずこの辺のことを書くのは自粛。
主人公は、妻の弟による法廷での駄目押し証言によって、●●の罪が確定する。そしてラストシーン−−書きたいけど、やはり書かないほうがいいと判断。クライムサスペンスなのでショッキングな場面もあるけど、でも、本当におもしろい映画だ。
奇妙だがひねりの効いたストーリー
全編が奇妙な展開の連続ではあるのだが、相当ひねりが利いてる。
映画の流れをこうして文章に書き直してみると、これはこれでけっこう面倒な作業ではあるが、なんとなく筋立ての骨格と構造が透けて見えてくるようでもある。
ビリー・ボブ・ソーントンもフランシス・マクドーマンドも、コーエン兄弟映画の常連だけど、個人的にはとても好きな俳優だ。