●『夏休みのレモネード』
理屈抜きで泣ける、子どもの夏の映画
本当に、ほんとうに良い映画だった。ラスト近くでは、久しぶりにおえつがこみ上げてくるのをおさえられなかった。自分の傾向として、むかしから子どももの映画に弱いという事実はある。
が、そんな個人的な傾向などまったく無関係に、純粋にすばらしい映画だった。ぜひこの夏休み、子どもと一緒に観てほしいとお願いしたくなるほどの一作だ(子どもは退屈するかな……)
ストーリーだけ説明すると、ちょっとお固い感じになるが、しかたないので簡単に……。
教会のシスターから、夏休みに入るまえに「悪魔の道を選ぶか神の道を行くかは、今年の夏のおこない次第」とおどかされて、ちょっとビビる8才のピート。すると兄から「異教徒をカトリック教徒に改宗させれば、聖人になって天国へ行ける」と教えられ、ユダヤ教の教会堂の前で「天国へのレモネード」を無料で配りはじめる。
友だちになった年下の子は、白血病だった……
そんなとき火事が起こる。ピートの父は消防士で、消火した家の息子・ダニーと友だちに。7才で白血病をわずらっているというダニーに、天国へ行けるようにと洗礼をしてあげたり、石投げをしたり、遠泳をすることになるのだが−−。
キリスト教カトリックと、ユダヤ教との間の関わりなども、少しは盛り込まれている。だがこの映画の良さは、そういう部分とはほとんど関係がない。
誰の思い出のなかにもある、まだ子どもだったころの夏休みの記憶。めばえてくる友情、なのにやがて訪れる、悲しくせつない別れ……。
ちなみにこの映画、マット・デイモンとベン・アフラックがプロデューサーを務める、オンライン脚本コンテストで1本だけ選ばれた脚本である。1万2000本の中から選び抜かれただけのことはある。
DVDの表紙になっている二人の男の子の姿。いったん観てしまった身としては、これだけでもう胸がしめつけられるようだ。
感想としては短くて申しわけないが、逆にあまり書かないで観てもらうほうがいいような気もする。本当に、ほんとうにおすすめしたい映画だ。