世界の裏庭

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【見つけた図鑑◉野鳥】モズ

 

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電線から、地面にいるエサを探しているモズ

●モズの早贄(はやにえ)

 「百舌の速贄」という言葉がある。野鳥のモズがエサとしてとったカエルや虫などを、細い木の枝に突き刺すようすをあらわす言葉だ。

 このイメージがあったものだから、個人的にモズというのは悪役というか、何となく残酷な鳥という印象があった。野鳥の写真を撮るようになる前のことだ。

 ちょくちょくカメラを取り出して写真を撮るようになったのは、ここ2年ほどのことで、それまでは時々ガラケーで気がついたものを撮る、という程度だった。

 野山に出かけていくと、このモズという鳥は比較的目にすることが多い。というのは、高い場所から地面を見下ろしている姿を見かけるからだ。たぶんエサを探しているのだろうと思うが、しきりにチョンチョンという感じで少し長めの尻尾を振っているしぐさが愛らしい。

●小さいのに鋭い嘴

 特徴は、そのくちばしである。まるでワシやタカなどの猛禽類のような、鋭く曲がったくちばしなのだ。これもきっと、エサをつかみやすく進化してきたのだろ思うが、これもどこか、小さいくせにどう猛な鳥という印象を与えているのかもしれない。

 でも、これも意外といってはかわいそうだが、鳴き声は想像する以上にきれいである。「キュィーキィー」というさえずりの声は、小さな体のわりにはよく響く。

 最近知ったのだが、モズを「百舌」と書くのは他の鳥の鳴き声を真似するからだそうだ。また、「モズの高鳴き75日」ともいい、しきりに鳴くようになると75日後あたりに初雪が降る、ともいわれているらしい。

 

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これは寒い季節に撮った一枚。エサを探すとき、モズがしきりに尻尾をちょんちょんと動かすのがかわいい

 

〈モズ〉 百舌  スズメ目 モズ科 全長約20cm

・鳴き声は「キュィーキィー」

・羽根は灰青色と黒、胸は茶色。アイラインのように目に黒い線が入っている

・川原や林縁などで見かけることが多い

・九州以北に分布する