『バッド・サンタ』
監督/テリー・ツワイゴフ
エグゼクティブ・プロデューサー/イーサン&ジョエル・コーエン
出演/ビリー・ボブ・ソーントン、トニー・コックス、ローレン・グレアム
やさぐれたサンタクロース!
見てください、この悪そうなサンタクロース。この映画、すごくいいなあと思った。「やさぐれた悪漢サンタ」というのがぴったりの、ビリー・ボブ・ソーントン。コーエン兄弟の映画ではおなじみの役者で、個人的にも好きな俳優だ。
何よりもこの映画は、「バッド・サンタ」というアイディアの勝利だと感じさせられた。子どもたちに夢を与えるはずのサンタさんが、犯罪者なのだ。
ストーリー的には、特にとりたてて目新しい要素があるわけじゃない。金庫破りをもくろむ犯罪者が、サンタクロースと妖精にそれぞれ扮装して犯行に及ぼうとする……というのがバカバカしくて面白いのだ。
細部に宿るコーエン兄弟のエッセンス
この犯罪者たちと、太っちょの少年との微妙な距離感が、観ていて心地いい気分にさせてくれるところもいい。お話としてセンチメンタルじゃないのも気持ちいい。
この映画でのコーエン兄弟は、監督としてではなくてエグゼクティブ・プロデューサーとして関わっているが、微妙なディテールの楽しさは健在だ。「オレンジばかり食いまくってる警備主任」とか、「ちょっと妖しいデパートの主任」とか。
世間はもう少しするとクリスマスの話題が出てくる季節になるが、こんなへそ曲がりなサンタクロース映画を味わって見るのも一興ではないだろうか。