きれいな水の中で咲くバイカモの花
山のほうへいったときなどに、湧き水があったり、澄んだきれいな沢や小川があるところなどで、バイカモの白い花を見つけることが多い。そういうときは、ついうれしくなってしばらく観察してしまう。
バイカモの花が咲くのは初夏から夏にかけて、ちょうどこれからの季節だ。調べてみたら、花は一年中咲いているというのだが、私がたまに出かける小川(この写真を撮ったところ)は、緯度も標高も比較的高いためなのか、夏の前後にしか花が咲いているのを見かけることはない。
花にはまるで詳しくないのだが、この花は好きだ。理由は、きれいな水が流れているところが個人的にとても好きで、そういう場所に群生しているのを見かけることが多いから。
水の流れにあわせて、白い花がユラユラと揺れているようすは、なかなか他の植物で見ることは少ないんじゃないかと思う。水生植物は、例えばハスなんかの場合、花が水面から出ていないとだめなようで、沼や池などが極端に増水すると、死んでしまうものが多いという。
植物としてはそれがあたり前という感じもするけど、バイカモはこの写真では花が水面から顔を出しているものが多いが、水量の多い川などでは水中に沈んだまま咲いているのである。
静水では育たず、流水だけで育つ珍しい植物
漢字で書くと梅花藻。実際に見てみると、まさにそういう印象で、白梅の花によく似ている。個人的に特に興味深いなと思うのは、静水では育たないということである。流れている水の中でしか育てられないらしいから、水槽で鑑賞しようと思っても難しいとされている。
上記の理由以外にも、地域によってはレッドデータブックの絶滅危惧種に指定されている例も多いというから、決して採取してはいけない植物である。
都市部に暮らしていると、天然の澄んだ水のなかでバイカモが咲いている風景を見ることは少ない。この写真を見ながら、サラサラ流れる小川とユラユラ揺れる梅花藻を思い浮かべながら、暑気払いをしていただければ幸いだ。
〈ばいかも〉とは
梅花藻 キンポウゲ科 多年生水草
・北海道や本州に分布する。日本固有種
・清流の中で生育する。生育の適温は15℃と低く、25℃を超えると生育できない
・葉は3〜4回分裂して糸上の細裂片にわかれる
・主に夏、水面上に花茎を出して梅の花に似た径1〜2cm の白い花を咲かせる
・新潟県北部から福島県あたりを境に南北型に分化しているとの研究結果もある
・別名、梅鉢藻