●『ナイロビの蜂』
原作/ジョン・ル・カレ 出演/レイフ・ファインズ、レイチェル・ワイズ 監督/フェルナンド・メイレレス
抜群のミスリーディングに驚く
うーん、こういうのって好きなんだよなあ。余韻があって、いろいろと考えさせられる本当にいい映画だ。原作がジョン・ル・カレということは、本格的スパイもの? と思ってしまうが……。
ストーリーでは、抜群のミスリーディングが使われている。例えば、妻の不貞、そしてその男友だちが●●だった、とか。じつは映画を観はじめてからすぐ、レイチェル・ワイズが嫌いになっていたのだが、ラストのほうではなぜか好きになってた……これって、まんまと映画と原作の策略にはまったってことだな。
ストーリーの詳細は書かないが、製薬会社とその販売会社、アフリカ人の命の安さなど、現実なんだろうと思わせられる事実、そして妻と主人公を殺したのは……もしこの結末だとしたら、あまりにも皮肉で不条理ではないか、と思う。
英国人俳優のレイフ・ファインズがシブい
この映画の場合、主人公が妻を殺害した犯人を見つける、というような展開になったのでは、やはりあまりに軽すぎるということなんだろうか。
レイフ・ファインズは、好きな俳優のひとりだ。『レッド・ドラゴン』*1という傑作サスペンス映画でも、異常な性癖をもつ、シリアル・キラーというむずかしい役どころを、非常にサイコで印象的に演じていたのが印象的だった。
これまで自分の好みを見てくると、英国出身、または英国にルーツをもつ俳優が好きという傾向がある。古くは、初代007・ジェームズ・ボンドのショーン・コネリー、ジュード・ロウ、などなど。
原作者のジョン・ル・カレは英国諜報部所属
ちなみに、英国のミステリー作家である大家のジョン・ル・カレは、実際にイギリス諜報部に所属していた経験があり、その後、本格的に小説を発表した小説家として知られている。つまり登場人物たちの会話や行動、対人関係のやりとりなどはすべてリアルな体験がベースになってる、ということなのだ。だからこそ緊迫感があり、スリリング。
とても面白い映画です。
*1:『羊たちの沈黙』のシリーズ作 原作/トマス・ハリス。アカデミー賞受賞 こちらも好きなエドワート・ノートン主演