●カワセミ2
あの同じ場所で、またカワセミを発見!
自分で勝手にシリーズ化を決めた、このカワセミの記事。初めて撮影に成功した同じ場所へ、少し前にふたたびいってみた。
はなれた場所へ車を停めて、腰をかがめ、身を低くして川へ近づいていく。野鳥は驚くほど目がいいから、少しでも相手に警戒されないようにとの思いからだ。そのときは周囲に人がいなかったのでよかったのだが、誰かがいるときなら不審者扱いされてもおかしくない怪しさだっただろう。
最初の数十分は、カワセミどころか他の鳥も姿を見せず、鳴き声すら聞こえてこない。本当に何もいないんじゃないかと不安になってくる。
小一時間ばかりすぎた頃、川に向かって左側(上流方向)から小さな鳥が川通しに飛んでくるのが視界に入った。カワセミがすべてそうなのかはわからないが、いつも水面ギリギリ、1mもないような高さをまっすぐ飛ぶのである。太陽は出てなかったから、あの輝くような翡翠色ではないが、なんとなく青っぽかった。
ちょうど正面、前回撮影したあたりで姿が消えた。期待に胸が高鳴った。距離も遠いし体があまりに小さいので、どこに留まったのかは見えない。
あの辺のどこかとアタリをつけて、身を低くしたまま川のギリギリまで近づいていき、カメラをかまえた。ズームして周辺を探ってみて、ようやく枯れ木に留まっているのを確認!
そして撮影したのが上の写真である。このときも興奮した。
というのは、これでこの場所があのカワセミのエサ場であることは、ほぼ間違いないと思えたからだ。2回来て、2回目撃。ということは今後ここへ来れば、運さえ良ければ撮れるということではないか?
粘りが必要だということも思い知らされた。前回も今回も、3、40分から1時間近く同じ場所で待った。気が長い人のように思われるかもしれないが、自分では気が短いほうだと思うし、友人にもそういわれる。
ではなぜ、そんな人間が待てるのかといえば、これはもう期待感でしかない。(さあ、いつ来る? まだか?……おっ! 来たか!?)という感じで、体はじっとしているが、胸のなかはまた見られる、また撮れるかもしれないという期待でいっぱいだからだ。
次はムービーに挑戦!
じつはこの撮影時、一回だけだがカワセミが川にダイブするところを目撃している。これはなかなか珍しいことじゃないかと思う。しかし手持ちカメラでダイブの瞬間を写真で撮るなんて、少なくともいまの自分の腕前ではとてもムリだ。
その証拠が、下の写真。
この2枚の写真は少しはなれた別々の場所。1枚目は速すぎて残像だけ。2枚目は、(この辺にいたはず……)と当てずっぽうで撮ったらたまたま写っていた……というように、写真で撮るのは(自分の腕と機材では)きわめて難しいとわかった。
そこで思いついたのが映像に収めることだ。ただ、このカメラでは一度も映像を撮ったことがない。というか、これまでこの手の機器を使ってムービー撮影した経験すらない。
しかし、この秘密の場所ならではのメリットがある。川から突き出した枯れ木が何本もある場所だが、そのエリア全体は決して広くない。つまり的が絞りやすい。
ズームで精細な写真を撮るのは難しいが、映像ならカワセミが動いたり飛んだりしてくれれば確認できる。取説によれば、撮影可能時間は29分。あとはその時間内にダイブしてくれるのを、運を天に任せて待つ……
これが目下、自分に課しているミッションである!(大げさ笑)
カワセミ豆知識 1 瞬膜
・カワセミの目には特殊な機能がある。ダイブして水に突入する直前、瞬膜という膜が眼球をおおい、衝撃から目を保護しているのだという。長い長い時間をかけて進化の過程で獲得した、生き物の機能にはつくづく驚かされる。
カワセミ豆知識 2 魚をプレゼント
・カワセミには求愛給餌という行動がある。オスがメスに求愛する際、獲った魚の頭を枝に叩きつけて気絶させてからプレゼント。しかもこのとき、相手が飲み込みやすいようにくちばしで器用に向きを変え、魚の頭から渡すというやさしさ(飲みこむときにウロコが喉に引っかからないように!)
〈カワセミ〉 ブッポウソウ属 カワセミ科 翡翠
・羽と背中は青緑色、腹部はオレンジ色の、くちばしが長い水辺の鳥
・約17cm。雌雄同色だが、メスの下のくちばしは赤い。小魚や甲殻類を食べる
・ユーラシア大陸南部からニューギニアに分布。日本はほぼ全国
・鳴き声はみじかく「チッチッ」「チッチー」