世界の裏庭

読書、映画、創作、自然など

『事件家族』第2章-13

☆ 事件の幕切れは、後味の悪いものになった。 エスカレーターから飛び降りた犯人の石黒洋太郎は、頭部に大けがを負って救命救急センター併設の病院へ搬送されていた。頭蓋骨の陥没骨折と脳挫傷で重体だった。意識が戻らず話すこともできないため、事情聴取は…

【定点観察◉今日のカワセミ】

秘密の同じ川、同じ場所へ通い、カワセミ動画が撮れたら公開 無謀にもこのようなことを始めた。何度か成功しているものの、あまり面白い映像は撮れてない。 ……だったら、なぜやるのか? ●いつかすばらしい場面が取れるんじゃないかという期待 ●自然界で(人…

『事件家族』2-12

変わった構造のエスカレーターだった。広場を中心にXの形をしていて、ちょうど交差しているところに中二階があり、そこからもう一本乗り継がなければ二階へあがれないのである。 男がエスカレーターに乗った。挙動にはどこか落ち着きがなく、しきりに周囲を…

『事件家族』第2章-11

☆ 犯人の足どりは掴めなかった。 草壁の携帯には何度かけてみてもつながらない。生きているかどうかが気がかりだったが、犯人を追うのが先決だと大嶽は自分に言い聞かせた。 車は海岸にほど近い道を走っていた。逃走しているはずの犯人は、どこかから上陸す…

『事件家族』第2章-10

大きな道路からだんだん細い道路に入っていって、でこぼこ道になったとたんに海が見えた。途中からパトカーの数がどんどんふえて、せまい駐車場はいっぱいになった。 「陽平君、少しだけ待っててくれ。すぐには見つからないようだったら、この車で家まで送る…

『事件家族』第2章-9

☆ チャンプは途中で何回も立ち止まっては、困ったような顔をして陽平を見あげた。 (おれの鼻じゃ無理だよ) 目がそう言っている。 「頑張れよ、チャンプ! シオンねえちゃんを助けられるのは、僕たちしかいないんだぞ」 何度も同じ言葉をかけて、陽平はシオ…

『事件家族』第2章-8

港が近づくと道はアスファルトに変わった。漁港が近づくと人も多くなり、漁船の数も増えてきた。誰かが水上バイクを目撃しているかもしれないと思った。 犯人が上流から下ってきたとすれば、ここを通らなければ海に出ることはできないからだ。釣り糸を垂らし…